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札幌文化芸術交流センター SCARTS
共催事業 音楽 講演
さっぽろ天神山アートスタジオ UCCN アーティスト・イン・レジデンス・プログラム 2019–2020
パフォーマンス・イベント「Pulse: Live coding & algorithmic music」
冬の札幌に国内外からアーティストを招聘し、滞在制作活動と成果発表を支援するプロジェクト(アーティスト・イン・レジデンス事業)に関連して、滞在アーティストのボーリング・スリーサムス氏(ホルへ・ラミレス)が、 ライブコーダーのレニック・ベル氏をゲストに招き、コンピューターを使った音楽と映像のパフォーマンスを行いました。
- 日時
- 2020年1月22日(水)
19:30 ~ 21:00 - 会場
- 札幌文化芸術交流センター SCARTS SCARTSコート
- 成果発表展
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文化芸術の分野において世界の都市間でパートナーシップを結び、相互に経験・知識の共有を図る「ユネスコ創造都市ネットワーク(UCCN)」に「メディアアーツ都市」として加盟している札幌市では、「さっぽろ天神山アートスタジオ」を拠点として、同加盟都市の中から公募で選ばれたメディア・アーティストを札幌に招き、札幌の地域特性を生かしたテーマでの60 日間の滞在制作環境を提供する「UCCN アーティスト・イン・レジデンス・プログラム」を2018 年から実施しています。
2 年目となる今回は、メキシコの都市グアダラハラから、ホルへ・ラミレス氏を招聘。同氏は60日間の札幌滞在中に「Space Matters(宇宙の事柄)」と題して、生命の起源を探求するため、モジホコリ粘菌の知的能力の研究で国際的に評価されている北海道大学の中垣俊之教授と物理エソロジー研究室の協力を受け、テクノロジーとバイオロジーのコラボレーション・プロジェクトを展開。さらに、札幌でガラス工芸に取り組む工芸作家の上杉高雅氏から技術的協力を得て彫刻作品を制作し、さっぽろ天神山アートスタジオにて1 月18 日から22 日まで成果発表展(初日は三原聡一郎氏をゲストにトークイベント)を行います。
2020年1月18日(土)~22日(水)9:00~21:00 休館日:1月20日(月)
会場:さっぽろ天神山アートスタジオ 展示スペース
(札幌市豊平区平岸2 条17丁目1番80号 天神山緑地内)
1月18日(土)─ オープニング・イベント
14:00~15:00「グアダラハラ/ メキシコの創造都市政策とメキシコのアートシーン」
17:00~18:00「ホルヘ・ラミレスのプロジェクトに関する対話」
ゲスト:三原 聡一郎(アーティスト、選考委員) - パフォーマンス・イベント「Pulse: Live coding & algorithmic music」
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最終日となる1 月22 日の夜は、札幌文化芸術交流センター SCARTS にて、伝説的ライブコーダーであるレニック・ベル氏を東京から招き、ラミレス氏がボーリング・スリーサムスという活動名で行なっているコンピューターを使った音楽と映像のパフォーマンス・イベント「パルス:ライブコーディング&アルゴリズミック・ミュージック」を披露。音楽の元となるコードを入力するPC 画面の映像が会場に大きく投影され、音楽が作られていく過程をライブで楽しむことができます。
-コンピューターを使ったサウンド・パフォーマンス
2020年1月22日(水)19:30~21:00
会場:札幌市民交流プラザ 1 階 SCARTS コート
アーティスト ボーリング・スリーサムス(ホルへ・ラミレス)
ゲスト レニック・ベル
主催:札幌市、さっぽろ天神山アートスタジオ、札幌文化芸術交流センター SCARTS(札幌市芸術文化財団) - UCCN AIRプログラムについて
- ユネスコ創造都市ネットワーク(UCCN)にメディアアーツ都市として日本で唯一加盟する札幌市は、さっぽろ天神山アートスタジオを拠点とするアーティスト・イン・レジデンス・プログラムを2018年から開始しました。今回が2年目となるこのプログラムは、世界のメディアアーツ都市(2019.10月現在17都市)から選ばれたアーティストを招聘し、札幌の地域特性を生かしたテーマでの滞在制作環境を提供します。札幌市では、本プログラムを通じて、創造都市間交流の強化と国際的な文脈における札幌の文化・創造事業の認知度向上を図っています。
- 招聘アーティスト:ホルヘ・ラミレス(Jorge Ramirez) ─グアダラハラ/メキシコ(Guadalajara/ Mexico)
- ホルヘ・ラミレスは、プロセス思考の作品群、サウンド、彫刻、アクション、キュラトリアルプロジェクトなどを通して、不可思議さへの窓口として、「創発現象」を探求しています。彼の仕事は、知覚力、オーグメンテーション、ヒューマン・エクスペリエンス、思考力、マテリアリティなどを調査して得られた、計算ロジックに基づいて進められます。ゲストアーティスト・講師として、モスクワのポリテック科学博物館、オーストラリアの王立研究所(RiAus)、北京の清華大学、ケルンの音楽とメディア研究所(IMM)、ベルリン芸術大学(UDK)、チューリッヒ芸術大学(ZHDK)のインタラクション・デザイン科、そしてメキシコの国立芸術センター(CENART)などでの仕事があげられます。彼の作品は、メキシコ、中国、日本、オーストラリア、ロシアに限らず、ヨーロッパ中で、展示されています。また、Wired、Archdaily、Vice、Global Times (スイス)、Resident Advisor(日本)、Afisha(ロシア)、Código DF、Expansión、La Jornada、Milenioなどの国際的なメディアに取り上げられています。
- 滞在制作のため計画しているプロジェクト:スペース・マターズ(宇宙の事柄)
- 私が提案したこのレジデンシーへの参加案は、2016年から私が取り組んでいるリサーチ、「スペース・マターズ」の一部を制作することです。「スペース・マターズ」は、国際宇宙航行連盟の議事録「現代美術の実践と宇宙空間:学際的アプローチ・国際宇宙航行連盟(AIF)」の中で2017年に発表されました。 私のリサーチは、国際宇宙ステーション(ISS)での、無重力状態でなされた物質科学の実験で読み取られた画像を元に成されています。これらのユニークな条件下での物質分析を元に、生物学的生命に類似した物質の挙動を分析し表現するため、また、科学的および芸術的ツールとして、視覚化・データ分析を使用するための、一連の計算過程を提案しました。実際の作品としては、ISSの画像から発展させた彫刻作品のシリーズを3Dプリンターで制作するつもりです。そしてその上に粘菌を用い、トポロジー上の迷路からの最短経路を見つけます。物質の形態形成と、無重力状態での出現特性を、生物学的形態形成と比較しながら、生命の起源に関わるようなSFストーリーを樹立させたいのです。 粘菌「モジホコリ」の知的能力を利用した迷路上の最短経路の発見は、主に北海道大学の中垣俊之教授の研究室で、多く実証されています。プラスチックの迷路を設計し、迷路の始まりと終わりに栄養素を詰めた寒天のブロックを配置すると、粘菌は行き止まりの通路から後退し、2つの食物の間の可能な限り最短の経路に沿ってだけ、成長したのです。
- 選考評:ホルヘ・ラミレスのプロジェクトについて
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今回の応募は古典的なメディアアートの流れを感じるコンピュータ科学やハッキングカルチャーを根底に据えた作家から、ポップシンガーまで、数こそ少なくも個性豊かでハイレベルな候補者が揃っていた。それぞれの滞在制作を面白く予感させる種を、遠くの海を越えて探ってくれていることを有り難く感じている。正直、似通ってしまう札幌や日本のリサーチの中で、選考側の解像度を上げてくれる新鮮な要素で出会うことがある。最終的に選考されたホルヘ・ラミレスさんは北海道大学の粘菌研究者(物理エソロジー研究室)とのコンタクトを具体的な希望として掲げていた。宇宙や生命というテーマは昨今のメディアアート分野では、実践的なフェイズに移行していることで注目されている。その経験値のある彼が、柔らかい計算機と見做せる粘菌を扱って、札幌の地で一体どんな芸術を企てるのか興味津々である。
(三原 聡一郎)
選考委員:三原 聡一郎(アーティスト)
世界に対して開かれたシステムを提示し、音、泡、放射線、虹、微生物、苔、気流、土そして電子など、物質や現象の「芸術」への読みかえを試みている。2011年より、テクノロジーと社会の関係性を考察するために空白をテーマにしたプロジェクトを国内外で展開中。2013年より滞在制作として北極圏から熱帯雨林、軍事境界からバイオアートラボまで、芸術の中心から極限環境に至るまで、これまでに計8カ国10箇所を渡ってきた。主な個展に「空白に満ちた場所」(クンストラウム・クロイツベルク、ベタニエン、ドイツ、2013)(京都芸術センター、2016)、グループ展に、札幌国際芸術祭2014(芸術の森有島旧邸, 2014)、「サウンドアート――芸術の方法としての音」(ZKM、ドイツ、2012)など。展覧会キュレーションに「空白より感得する」(瑞雲庵, 2018)。共著に「触楽入門」(朝日出版社、2016)。アルス・エレクトロニカ、トランスメディアーレ、文化庁メディア芸術祭、他で受賞。プリアルスエレクトロニカ2019審査員。また、方法論の確立していない音響彫刻やメディアアート作品の保存修復にも近年携わっている。 - 主催
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札幌市、さっぽろ天神山アートスタジオ
後援:メキシコ大使館
コーディネート:一般社団法人 AISプランニング、小田井 真美、松田 朕佳
協力:北海道大学 物理エソロジー研究室、Studio π Glass(ガラス作家:上杉 高雅) - 入場者数
- 70名
- チラシダウンロード