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西2丁目地下歩道映像制作プロジェクトは、さっぽろ地下街オーロラタウンと札幌市民交流プラザをつなぐ “西2丁目地下歩道” を舞台にした映像制作プロジェクトです。4面プロジェクションからなる横長の特殊スクリーンと、歩行空間という特徴を元に、多様で実験的な映像表現を探求しています。5作目となる今回は、2019年制作の映画『セノーテ』で各方面より絶賛を受け、令和2年度(第71回)芸術選奨映画部門新人賞(主催:文化庁)を受賞した気鋭の映画監督・小田香に制作を委嘱し、札幌の地下空間に焦点をあてた作品『Underground』が完成しました。 2022年4月1日より、小田香による新作を含めた5作品のラインナップで上映を行います。小田香《Underground》[9分37秒 | 2022]Underground ー 地下にある人の営みと、場所に積層する時間人間の記憶 ―私たちはどこから来て、どこに向かっているのか― を一貫して探究する小田香が、巨大な構造物のある札幌の地下空間に着目した映像作品です。地上からは見えない地下空間には巨大なインフラがあり、この都市と人々の暮らしを支えています。また都市の発達とともに拡張し、整備され、日々遅滞なく機能するそれらの空間には、この土地を支えてきた人々の営みや時間が積層しています。今回、小田はこの地下空間に複数のイメージや光を投影した上で、16ミリフィルムでの撮影を行いました。映像の中で重なる過去の情景や家族の声、幾度も現れる洞窟と穴、原始と宇宙のイメージは、作品が上映される地下歩道空間を別の時空へと接続し、現在の時間をゆさぶるような感覚をひきおこすでしょう。監督/撮影/編集/サウンドデザイン:小田香テクニカル・ディレクション/音響/グレーディング:長崎隼人撮影・制作アシスト:三浦博之プロデューサー:杉原永純エグゼクティブ・プロデューサー:筒井龍平(トリクスタ)撮影協力:札幌市交通局、札幌市下水道河川局、札幌市水道局、札幌市雪対策室、モエレ沼公園、シアターキノ8mmフィルム投影映像提供:中島洋(「窓から海の揺れがみえた」)、中島ひろみ(「えにっき5 『水の日』 1991」)、佐藤朋子、小林昌三協力:さっぽろ天神山アートスタジオ
監督の言葉地下の世界は真っ暗で、光で照らさないと何も見えない。うつらない。暗闇を光で照らす作業は、その空間を光で彫刻する行為のような気がした。照らし方によって、見える面が、その見え方が変化する。今回札幌で撮影した空間は、雨水を運ぶ管だったり、雪を溶かすための槽だったり、公園の噴水下、地下鉄のちょっと奥など、私たちの日常の隣にありえる場所だ。我々はそれらの空間を通して、宇宙に出た。138億年といわれる時空に接触を試みた。
何に耳を澄ませていたのだろう。石や星、家族の思い出、それらを繋ぐ穴たちを空間に投影することで、私たちはそこにある痕跡を見出そうとするよりは、私たちの痕跡を残そうとしてるのかもしれない。あるいは、古い跡に新しい跡を重ね、私たちもここに来たぞ見たぞ居たぞと、いくつも重なる層のひとつとして発信し、発見されたいのかもしれない。地下の痕跡はいずれ地上に顔を出すだろう。人間たちがいたことを表す層は綿々と積み重なっていく。
小田 香1987年大阪府生まれ。フィルムメーカー/アーティスト。イメージと音を通して人間の記憶(声)―私たちはどこから来て、どこに向かっているのか―を探究している。2013年、映画監督のタル・ベーラが指揮する映画作家育成プログラムfilm.factoryに参加し、2016年に修了。ボスニア炭鉱を撮った長編第一作『鉱 ARAGANE』(2015)が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞を受賞し、各地の国際映画祭等で上映。『セノーテ』(2020)にて第1回大島渚賞を受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。
西2丁目地下歩道映像制作プロジェクトは、さっぽろ地下街オーロラタウンと札幌市民交流プラザをつなぐ “西2丁目地下歩道” を舞台にした映像制作プロジェクトです。4面プロジェクションからなる横長の特殊スクリーンと、歩行空間という特徴を元に、多様で実験的な映像表現を探求しています。
5作目となる今回は、2019年制作の映画『セノーテ』で各方面より絶賛を受け、令和2年度(第71回)芸術選奨映画部門新人賞(主催:文化庁)を受賞した気鋭の映画監督・小田香に制作を委嘱し、札幌の地下空間に焦点をあてた作品『Underground』が完成しました。 2022年4月1日より、小田香による新作を含めた5作品のラインナップで上映を行います。
小田香《Underground》[9分37秒 | 2022]
Underground ー 地下にある人の営みと、場所に積層する時間
人間の記憶 ―私たちはどこから来て、どこに向かっているのか― を一貫して探究する小田香が、巨大な構造物のある札幌の地下空間に着目した映像作品です。地上からは見えない地下空間には巨大なインフラがあり、この都市と人々の暮らしを支えています。また都市の発達とともに拡張し、整備され、日々遅滞なく機能するそれらの空間には、この土地を支えてきた人々の営みや時間が積層しています。
今回、小田はこの地下空間に複数のイメージや光を投影した上で、16ミリフィルムでの撮影を行いました。映像の中で重なる過去の情景や家族の声、幾度も現れる洞窟と穴、原始と宇宙のイメージは、作品が上映される地下歩道空間を別の時空へと接続し、現在の時間をゆさぶるような感覚をひきおこすでしょう。
監督/撮影/編集/サウンドデザイン:小田香
テクニカル・ディレクション/音響/グレーディング:長崎隼人
撮影・制作アシスト:三浦博之
プロデューサー:杉原永純
エグゼクティブ・プロデューサー:筒井龍平(トリクスタ)
撮影協力:札幌市交通局、札幌市下水道河川局、札幌市水道局、札幌市雪対策室、モエレ沼公園、シアターキノ
8mmフィルム投影映像提供:中島洋(「窓から海の揺れがみえた」)、中島ひろみ(「えにっき5 『水の日』 1991」)、佐藤朋子、小林昌三
協力:さっぽろ天神山アートスタジオ
監督の言葉
地下の世界は真っ暗で、光で照らさないと何も見えない。うつらない。暗闇を光で照らす作業は、その空間を光で彫刻する行為のような気がした。照らし方によって、見える面が、その見え方が変化する。今回札幌で撮影した空間は、雨水を運ぶ管だったり、雪を溶かすための槽だったり、公園の噴水下、地下鉄のちょっと奥など、私たちの日常の隣にありえる場所だ。我々はそれらの空間を通して、宇宙に出た。138億年といわれる時空に接触を試みた。
何に耳を澄ませていたのだろう。石や星、家族の思い出、それらを繋ぐ穴たちを空間に投影することで、私たちはそこにある痕跡を見出そうとするよりは、私たちの痕跡を残そうとしてるのかもしれない。あるいは、古い跡に新しい跡を重ね、私たちもここに来たぞ見たぞ居たぞと、いくつも重なる層のひとつとして発信し、発見されたいのかもしれない。地下の痕跡はいずれ地上に顔を出すだろう。人間たちがいたことを表す層は綿々と積み重なっていく。
小田 香
1987年大阪府生まれ。フィルムメーカー/アーティスト。イメージと音を通して人間の記憶(声)―私たちはどこから来て、どこに向かっているのか―を探究している。2013年、映画監督のタル・ベーラが指揮する映画作家育成プログラムfilm.factoryに参加し、2016年に修了。ボスニア炭鉱を撮った長編第一作『鉱 ARAGANE』(2015)が山形国際ドキュメンタリー映画祭アジア千波万波部門にて特別賞を受賞し、各地の国際映画祭等で上映。『セノーテ』(2020)にて第1回大島渚賞を受賞。2021年、第71回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。