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バトン ー創造性を刺激する、読書のためのトークセッション
第3回『炭鉱と美術 旧産炭地における美術活動の変遷』
『バトン ー創造性を刺激する、読書のためのトークセッション』は、文化芸術に関わる書籍を紹介するシリーズです。毎回1冊の本を取り上げ、著者やナビゲーターと議論を交えながら内容を読み解き、文化芸術と社会の関係を考えます。
第3回に取り上げるのは、『炭鉱と美術』 。北海道を含め、全国各地に残る産炭地で営まれた創造活動を丹念に追った本です。かつて日本の産業を支えた炭鉱の周りには、多くの人が集まって街が作られました。住民たちが創作し続けた絵や彫刻や音楽は、時に異なる立場の人たちの交流を生み、時に自分たちの経験や境遇を訴える手段になりました。それは、市井の人々の創造的な営みが社会を形成し、変化させてきたダイナミズムの記録といえます。
「まちづくり」や「創造都市」「アートプロジェクト」といった言葉が語られるようになって以降、アートと社会を関係させた様々な試みが全国各地で行われています。しかしそうした試みより前に、社会にはその土地に暮らす人々の創造の蓄積が既に分厚く存在していることを、本書は明らかにします。私たちは先人たちの営みにどう向き合い、次世代に継承すべきなのでしょうか。自身も産炭地の記憶の実践に取り組みながら、そこで過ごす人々の姿を追い続ける著者・國盛麻衣佳さんをゲストに招いて考えます。お相手は、北海道大学教授の橋本努さん。個々人の潜在能力に着目しながらあるべき社会の姿を描く目線を通し、社会の創造性の源がどこにあるのか考えました。
- 日時
- 2022年1月22日(土)
14:00 ~ 16:00 - 会場
- 札幌文化芸術交流センター SCARTS SCARTSスタジオ
- プロフィール
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國盛麻衣佳(くにもり まいか)
アーティスト。福岡県大牟田市生まれ。先代が炭鉱関係の仕事に従事していたことから地域の歴史に関心をもち、2007年より炭鉱をテーマとした制作活動や美術研究を行っている。女子美術大学美術学科洋画卒、東京芸術大学大学院修士課程美術研究科壁画専攻卒、九州大学大学院芸術工学府環・遺産デザインコース卒、博士(芸術工学)。最近の活動としては、2018年 九州芸文館 筑後アート往来2017→2018「藝術生活宣言-だって楽しいんだもん!-」、2021年 直方谷尾美術館「黒ダイヤにまつわること」出展。2020年『炭鉱と美術―旧産炭地における美術活動の変遷―』(九州大学出版会)出版。同著は2021年 第15回野上紘子記念アート・ドキュメンテーション学会賞を受賞。
橋本努(はしもと つとむ)
1967年生まれ。北海道大学大学院経済学研究院教授。 経済社会学、社会哲学。主な著書に『自由原理 来るべき福祉国家の理念』(岩波書店)、『消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神』(筑摩選書)、『経済倫理=あなたは、なに主義?』『解読 ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』』(以上、講談社選書メチエ)、『自由の論法 ポパー・ミーゼス・ハイエク』(創文社)、『帝国の条件 自由を育む秩序の原理』(弘文堂)、『自由に生きるとはどういうことか 戦後日本社会論』『学問の技法』(以上、ちくま新書)など多数。
- 主催
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札幌文化芸術交流センター SCARTS(札幌市芸術文化財団)
後援:札幌市、札幌市教育委員会
広報デザイン : 関川航平 - 協力
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紀伊国屋書店札幌本店
札幌市図書・情報館 - 入場者数
- 45名
- チラシダウンロード