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2018年11月14日(水)
札幌文化芸術劇場 hitaru
【公募企画事業取材レポート】札幌舞踊会 バレエ「カルミナ・ブラーナ」②
札幌市で継続的に活動している文化芸術団体と共に、札幌文化芸術劇場 hitaruの開館から1年間のオープニングシリーズを盛り上げる公募企画事業。この公演に向けた各団体の様子を【公募企画事業取材レポート】と題し、定期的にお届けしております。
今回は12月15日(土)上演、札幌舞踊会主催 バレエ「カルミナ・ブラーナ」に出演される、坂本登喜彦さんと本作の振付を手がける札幌舞踊会代表千田雅子さんにお話をお聞きしました。
※左から千田雅子さん、坂本登喜彦さん
※左から千田雅子さん、坂本登喜彦さん
―バレエとの出会いについて
坂本さん
最近は小さい頃から始める子が多いですが、僕がバレエと出会ったのは高校1年。元々芝居をやっていて。高校演劇で有名な本山節彌先生の作品の千田モト先生(※札幌舞踊会創設者)振付シーンが初めての「踊り」、翌年札幌舞踊会の「白鳥の湖」に立ち役で出演したのが初めての「バレエ」。それまでテレビで流れていてもチャンネルを変えるほどバレエに興味がなかったけれど、「一言も発していないのに、物語がみえる。言葉がなくてもこんなに伝わるのか」と感動しました。その後札幌舞踊会でバレエを始めましたが、あくまでも大学で演劇を学ぶため。この頃は男性ダンサーがいませんでした。
千田さん
そうなの。当時は男性用のバレエタイツなんて札幌にはなく、彼はよくわからずに女性用のタイツを買ってきちゃったりして…(笑)
坂本さん
望み通り大学進学で上京、帰省した夏休みに「カルミナ・ブラーナ」に群舞で出演したのですが、「男性もバレエで生かされる」とこの作品で知りました。踊ることに魅力を感じ、「本当は何がしたいんだろう…」と自問自答しているうちに「バレエ」という気持ちが強くなり、中退してしまいました。
千田さん
「戻ってくるの?!」とこちらが動揺したくらい。でも、やる気がすごかった。彼が帰札後「ジゼル」を上演したのですが、「(第1幕)ペザントのパ・ド・ドゥのアンダースタディー(※代役)をやらせて欲しい」と嘆願され、「えーー!」と。今映像を見たらびっくりするような踊りだけど(笑)、彼には「やりたい」という情熱があった。このとき、指揮を務めた福田一雄さんが声をかけてくださり、世界が広がっていきました。抜群の音感がその理由です。
坂本さん
叔母がクラシック好きで、バレエ音楽とは知らず「白鳥の湖」を聞いていたのが影響しているかもしれません。楽器はダメで…習っていたピアノも、片手までは「天才」って言われたんですけどね。(笑)
―演劇とバレエの違いは「言葉」の有無ですよね
坂本さん
そうですね、そして「言葉がなくても通じる」ことに魅力を感じた。言葉がなくても「想像する」ことで、さらに「通じる」と思います。演劇からバレエに移行したことで言葉を「失った」のではなく、「伝える術をさらに身につけた」と思った。伝える、想像させるのは踊り手に意思があればできること。音楽と振付があれば、僕は十分だと思う。何か絵や写真を見て想像する…誰にでも「想像力」はある。だから、踊り手に伝える意思があれば、絶対に「伝わる」と思うんです。
千田さん
今の若いダンサーの中にはテクニックはあるけれども、役を追求しているように見えないこともあるわよね。綺麗だけど、印象に残らないというか…
坂本さん
本当は「想像する」ことが楽しいのに。同じ役でも、この人がやるとこうなる、ということが面白い。良い悪いではなく、「どうしてもっと深めないの?」もったいないと思います。
―そして今回、バレエを選ぶきっかけとなった「カルミナ・ブラーナ」に出演されるのですね。
千田さん
70周年記念公演である今回は、初めて舞踊会に来た男性である彼にぜひ出てもらいたかったの。まさか「カルミナ」がバレエを選ぶきっかけになったとは初めて知ったけれど、やはりこの作品の「音楽」が彼を導いたのかもね。
坂本さん
今回の役は、全てを把握した神。全員のエネルギーをどうまとめるか、重責を感じ…今から眠れないです。(笑)でも、ここも「想像力」が重要になると思います。そして、これから歴史が刻まれる劇場で踊ることが光栄です。僕の夢は、札幌から作り手と観客で何かを発信すること。それには、沢山劇場に足を運んでもらい「想像」してもらえたらと思います。
※札幌文化芸術劇場オープンに際し、坂本さんより「hitaruに一言!」いただきました。
※札幌文化芸術劇場オープンに際し、坂本さんより「hitaruに一言!」いただきました。
今や、沢山の芸術賞を受賞する坂本さん。バレエとの出会いは早くありませんが、「音楽性」と「想像力」そして「思い」と「情熱」が彼の人生を描いているように感じました。本作を観て、ぜひ沢山の方に「想像」していただきたいです。
次回は、バレエ界で有名な「あの方」にお話を伺います!
※当ページに掲載されている画像の無断転載はご遠慮ください。
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今回は12月15日(土)上演、札幌舞踊会主催 バレエ「カルミナ・ブラーナ」に出演される、坂本登喜彦さんと本作の振付を手がける札幌舞踊会代表千田雅子さんにお話をお聞きしました。
※左から千田雅子さん、坂本登喜彦さん
※左から千田雅子さん、坂本登喜彦さん
―バレエとの出会いについて
坂本さん
最近は小さい頃から始める子が多いですが、僕がバレエと出会ったのは高校1年。元々芝居をやっていて。高校演劇で有名な本山節彌先生の作品の千田モト先生(※札幌舞踊会創設者)振付シーンが初めての「踊り」、翌年札幌舞踊会の「白鳥の湖」に立ち役で出演したのが初めての「バレエ」。それまでテレビで流れていてもチャンネルを変えるほどバレエに興味がなかったけれど、「一言も発していないのに、物語がみえる。言葉がなくてもこんなに伝わるのか」と感動しました。その後札幌舞踊会でバレエを始めましたが、あくまでも大学で演劇を学ぶため。この頃は男性ダンサーがいませんでした。
千田さん
そうなの。当時は男性用のバレエタイツなんて札幌にはなく、彼はよくわからずに女性用のタイツを買ってきちゃったりして…(笑)
坂本さん
望み通り大学進学で上京、帰省した夏休みに「カルミナ・ブラーナ」に群舞で出演したのですが、「男性もバレエで生かされる」とこの作品で知りました。踊ることに魅力を感じ、「本当は何がしたいんだろう…」と自問自答しているうちに「バレエ」という気持ちが強くなり、中退してしまいました。
千田さん
「戻ってくるの?!」とこちらが動揺したくらい。でも、やる気がすごかった。彼が帰札後「ジゼル」を上演したのですが、「(第1幕)ペザントのパ・ド・ドゥのアンダースタディー(※代役)をやらせて欲しい」と嘆願され、「えーー!」と。今映像を見たらびっくりするような踊りだけど(笑)、彼には「やりたい」という情熱があった。このとき、指揮を務めた福田一雄さんが声をかけてくださり、世界が広がっていきました。抜群の音感がその理由です。
坂本さん
叔母がクラシック好きで、バレエ音楽とは知らず「白鳥の湖」を聞いていたのが影響しているかもしれません。楽器はダメで…習っていたピアノも、片手までは「天才」って言われたんですけどね。(笑)
―演劇とバレエの違いは「言葉」の有無ですよね
坂本さん
そうですね、そして「言葉がなくても通じる」ことに魅力を感じた。言葉がなくても「想像する」ことで、さらに「通じる」と思います。演劇からバレエに移行したことで言葉を「失った」のではなく、「伝える術をさらに身につけた」と思った。伝える、想像させるのは踊り手に意思があればできること。音楽と振付があれば、僕は十分だと思う。何か絵や写真を見て想像する…誰にでも「想像力」はある。だから、踊り手に伝える意思があれば、絶対に「伝わる」と思うんです。
千田さん
今の若いダンサーの中にはテクニックはあるけれども、役を追求しているように見えないこともあるわよね。綺麗だけど、印象に残らないというか…
坂本さん
本当は「想像する」ことが楽しいのに。同じ役でも、この人がやるとこうなる、ということが面白い。良い悪いではなく、「どうしてもっと深めないの?」もったいないと思います。
―そして今回、バレエを選ぶきっかけとなった「カルミナ・ブラーナ」に出演されるのですね。
千田さん
70周年記念公演である今回は、初めて舞踊会に来た男性である彼にぜひ出てもらいたかったの。まさか「カルミナ」がバレエを選ぶきっかけになったとは初めて知ったけれど、やはりこの作品の「音楽」が彼を導いたのかもね。
坂本さん
今回の役は、全てを把握した神。全員のエネルギーをどうまとめるか、重責を感じ…今から眠れないです。(笑)でも、ここも「想像力」が重要になると思います。そして、これから歴史が刻まれる劇場で踊ることが光栄です。僕の夢は、札幌から作り手と観客で何かを発信すること。それには、沢山劇場に足を運んでもらい「想像」してもらえたらと思います。
※札幌文化芸術劇場オープンに際し、坂本さんより「hitaruに一言!」いただきました。
※札幌文化芸術劇場オープンに際し、坂本さんより「hitaruに一言!」いただきました。
今や、沢山の芸術賞を受賞する坂本さん。バレエとの出会いは早くありませんが、「音楽性」と「想像力」そして「思い」と「情熱」が彼の人生を描いているように感じました。本作を観て、ぜひ沢山の方に「想像」していただきたいです。
次回は、バレエ界で有名な「あの方」にお話を伺います!
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