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お知らせ

2018年7月20日(金)

札幌文化芸術劇場 hitaru

【公募企画事業取材レポート】札幌舞踊会 バレエ「カルミナ・ブラーナ」①

 札幌市内で継続的に活動している文化芸術団体と共に、札幌文化芸術劇場 hitaruの開館から1年間のオープニングシリーズを盛り上げる公募企画事業。この公演に向けた各団体の様子を【公募企画事業取材レポート】と題し、定期的にお届けしております。
 今回は12月15日(土)上演、札幌舞踊会主催 バレエ「カルミナ・ブラーナ」に出演される西野隼人さんと本作の振付を手掛ける札幌舞踊会代表千田雅子さんにお話をお聞きしました。


※左から千田雅子さん、西野隼人さん
※左から千田雅子さん、西野隼人さん

※左から千田雅子さん、西野隼人さん
※左から千田雅子さん、西野隼人さん


―西野さんは、札幌舞踊会の出身ですね。子どもの頃の様子をお聞かせください。

千田さん
(西野)隼人はとにかくおとなしい子だったわね!よく「近くのスーパーで、しゃべり薬を買ってらっしゃい!」と言っていたくらい。

西野さん
そうですね。(札幌)舞踊会に男の子はいたけれど、同じ年頃の子がしばらくいなくて…ボーイズクラスがマンツーマンレッスンだった時期が1年くらいあったほど。だから、しゃべるも何も…(笑)でも小学校高学年くらいからは同世代が増えてきて。それから少しずつ話したり、自分を出せるようになってきた気がします。

千田さん
そう、どんどん変わったわよね。

西野さん
そこから、18歳でオランダのバレエ学校に行きました。その頃には、バレエでやっていきたいという意思がしっかりしていました。

千田さん
隼人は賢い子で、学校のお勉強もちゃんとできていた。だから、レッスンでも集中力があったし、考えることもできた。大学進学などの選択ももちろんできたけれど、選んだのがバレエだったという感じよね。

西野さん
18歳は、一般的にはバレエ団に就職する年齢。バレエ学校のオーディションを受けた時も「どうしてバレエ団を受けないんだ?」と言われました。でもまずはバレエ学校でちゃんと勉強したいと思ったので、1年半だけ通ったんです。

千田さん
隼人は、すごく慎重。堅実なところがあるから、今こうしてダンサーとして生活していけているし、そこはさすがという感じがします。

西野さん
確かに、優柔不断ではないかもしれないですね。色々考えてから決めることが多いかもしれない。勢いで、ということはあまりないかもしれませんね。

千田さん
踊りもいつも着実にこなしてくれる。役を任せてもそういう部分で安心できるんです。もちろんアーティストだから爆発的である部分も必要だけど、仕事をお願いする立場としてはきっちりとこなしてくれる、踊ってくれるという安心感が大事なのよね。

西野さん
ダンサーにはどちらも大事だと思っていて。だから、爆発的な部分と堅実的な部分のバランスは、これから踊っていく上でも課題になると思っています。


―その後、帰国してプロとしてご活躍されたのですね。

西野さん
最初はヨーロッパで就職するつもりだったんです。当時は古典バレエを沢山踊りたいと思っていた。でも古典バレエが踊れるような大きなバレエ団は、オーディションすら簡単に受けることもできない時代。自分が踊りたいものを踊れない場所にいるのもな、と思っていたときにKバレエカンパニーに魅力を感じて。古典作品も充実しているし、素晴らしい男性ダンサーも多数在籍していたので、オーディションを受けたいと思いました。

千田さん
「ロミオとジュリエット」や「海賊」など、様々な素晴らしい作品を踊ることができたわよね。

西野さん
はい、そうなんです。そして、バレエ団を退団した今も時々、Kバレエゲートで講師をさせてもらったり、公演では楽屋に伺わせてもらったり。子どもができた時は、熊川さんにお腹をなでてもらったりもして…本当に良いご縁だなと思っています。

千田さん
人との繋がりは大事よね。

西野さん
本当にそうですね。東京に出るときには、舞踊会の先輩方にもお世話になって。全てご縁ですね。

千田さん
今回のゲストダンサーも隼人に紹介してもらった方々。隼人の周りはハートが熱い人ばかりだから、楽しみです。


―札幌舞踊会での舞台の思い出をお聞かせください。

西野さん
札幌舞踊会は、子どもでも年に3~4回と舞台数が多かった。17歳の時に、初めて公演で主役を務めた「くるみ割り人形」全幕の王子は思い出に残っています。それから…なんといっても「カルミナ・ブラーナ」ですね。古典作品のようなグラン・パ・ド・ドゥ(古典全幕作品の終盤に主役ふたりが踊るパート)があるわけではないし、華やかなバレエというわけではないのに、とにかく作品のパワーに惹かれて。初めて出演したのは小学校5年生でした。次に踊る機会があったのが中学生。今思えば当たり前なのですが、「少し大きくなったし、今回は大人の役で出れるかな?」と思ったんです。あの大人の中に自分も入って踊りたいなと。でも思いは叶わなかったんですよね。それから、(千田)雅子先生とお会いする度に「先生、次のカルミナはいつやるんですか?」と10年くらい言い続けました。「もうやらないわよ」なんて毎回言われながら。(笑)


―「カルミナ・ブラーナ」上演は待ちに待った、ということですね。

西野さん
去年かな、札幌に戻ってきたときにお寿司屋さんのカウンターで、雅子先生から「男性ゲストのことなんだけどね…」と相談されて。「ところで先生、何をやるんですか?」と聞いたら、「カルミナよ」と。「え!!そうなんですか~?」って。(笑)

千田さん
てっきり伝えていたと思っていたのよ!(笑)
札幌舞踊会の「カルミナ・ブラーナ」は、日常的な人間の営みを基に誕生から死までを表現しています。隼人には、誕生からお酒に溺れるまでのシーンを演じてもらう予定です。過去3回は、坂本登喜彦さんが演じた役です。

西野さん
正直、不安もあります。例えば表現だったり。前回出演しているときは子役だったので、雅子先生の「カルミナ」の本当の意味をまだわかっていなかったと思います。でも、楽しみでもあるんです。登喜彦さんの素晴らしいところは、受け継ぎたいですし。

千田さん
昭和の時代に活躍してきた人が踊っているパートを、こうして平成の人が踊る。新しい時代の「カルミナ」ができることは、私もとても楽しみよ。同じ作品でも今のダンサーには、それに合わせたものになっていくでしょうし、だから振付も必然的に変わっていくと思います。


―そして札幌文化芸術劇場のオープニングという新時代幕開けでの上演となりますね。

千田さん
大きな舞台でコンテンポラリーを上演することは、面白いかな?と思っています。新しい時代の幕開けにコンテンポラリーを上演できることもとてもいいことよね。

西野さん
コンテンポラリーを初めて観る人にも、以前観たことがある人にも喜んでいただける舞台にしたいです。そして、北海道のお客様が劇場に足を運ぶきっかけになればいいなと。

千田さん
札幌にこんな素晴らしい劇場ができたのだから、「劇場に行けば、何か面白いことがあるよ」「劇場に行けば、楽しいことがあるよ」という期待感を持ってもらえるような作品作りができればいいと思っています。そのためにも今勢いのあるダンサーで作品を作る。良いものが提供できれば、次に繋がる。劇場に通う「習慣」ができればいいですね。
この公演は札幌舞踊会70周年記念公演でもあります。70周年をまさか新しい劇場で迎えられるなんて、嬉しいわね。

西野さん
今思えば、こういうことだったんだなと。10年待ち続けたことに理由があったんだな、と思います。

千田さん
そうね。そして10年間、隼人がここまで踊りを続けてきてくれたことも嬉しいわ。作品にもご縁があったということよね。

 思い出話にも華が咲き、終始和やかな対談となりました。西野さんが「ようやく夢が叶うんです!」と力強く話す表情に、「カルミナ・ブラーナ」への熱い思いを感じました。
 夢が叶う瞬間を hitaruの客席で一緒に味わうことができる…この奇跡は必見といえるでしょう。


千田雅子さん西野隼人さん
札幌文化芸術劇場オープンに際し、「hitaruに一言!」いただきました。
左から、千田雅子さん、西野隼人さん。

千田雅子さん西野隼人さん
札幌文化芸術劇場オープンに際し、「hitaruに一言!」いただきました。
左から、千田雅子さん、西野隼人さん。


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