2024
APR-MAY

4-5

札幌文化芸術劇場 hitaru〈ヒタル〉において、
「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠れる森の美女」に続き
4度目の新国立劇場バレエ団公演となる「アラジン」。
新国立劇場の舞踊芸術監督を務める吉田都さんに、
新国立劇場バレエ団の特徴や芸術監督の役割、
公演の見どころなどを伺いました。

―札幌や北海道の人々に、新国立劇場バレエ団の特徴や強みを教えてください。

新国立劇場バレエ団は、日本で唯一の国立劇場付属のバレエ団です。レパートリーは、チャイコフスキー三大バレエをはじめとする古典から、20世紀の名作や現代振付家の作品、そして今回上演する「アラジン」のような新国立劇場オリジナル作品まで多岐にわたります。日本を代表するトップダンサーたちと、世界に誇る美しいコール・ド・バレエによる日本最高峰のバレエ団として、バレエの普及に努めています。

―新国立劇場バレエ団は全国で公演を行っていますが、新国立劇場以外での公演について、その意義や魅力を教えてください。

地方には、立派な施設を運営されているところも多く、ダンサー時代はさまざまな劇場で踊らせていただきました。個人的に願うことは、劇場は気軽に舞台芸術に触れる場であってほしいということ。新国立劇場バレエ団の公演を各地にお届けできるのはとてもうれしいことですし、使命感を持ってお伺いしています。ダンサーたちにとっても、出身地の劇場で踊る機会はそれぞれ励みになっているようです。

―吉田さんは2020年9月から新国立劇場の舞踊芸術監督に就任されています。芸術監督の役割についてどのように考えていらっしゃいますか。

新国立劇場は、日本の文化発信の拠点として、国際的水準の質の高い舞台芸術を上演する使命があり、芸術監督は芸術面の最高責任者として公演をお届けしています。昨年は生の舞台の魅力を体験できるエデュケーショナル・プログラムや、優れた若手ダンサーたちにスポットライトを当てるガラ公演など、新しい企画の公演を上演しました。次世代の観客を育むプログラムや若手ダンサーの育成は、今後も積極的にチャレンジしていきたいと思っております。

―吉田さんはロイヤル・バレエ団などでプリンシパルを務められました。海外でもご活躍された吉田さんから見た、新国立劇場バレエ団ダンサーの印象を教えてください。

新国立劇場バレエ団では、ダンサーたちが真摯にリハーサルに向き合っています。海外から振付家がいらしたときに、ダンサーたちの真面目な姿勢や助け合う姿勢に感心され、実に誇らしく思いました。自分の踊りに集中する時間を大切にし、周りのダンサーたちに影響されることなく、自分の守るべきもの、プライドも持ってほしいと感じています。

―新国立劇場バレエ団が、今シーズン「アラジン」をラインアップした理由を教えてください。また、新国立劇場バレエ団にとって「アラジン」はどのような作品でしょうか?

今シーズンは、新国立劇場バレエ団の発展に尽力してくださった歴代の芸術監督へのオマージュを込めたラインアップにしました。「アラジン」はデヴィッド・ビントレー元芸術監督が新国立劇場のために振り付けたバレエで、海外のカンパニーもレパートリーにするなど、まさに新国立劇場発のオリジナル作品。大切なレパートリーですし、何よりダンサーにもお客さまにもとても愛されている宝物のような作品です。

―「アラジン」の注目シーンや魅力、鑑賞のポイントを教えてください。

分かりやすいストーリー展開で、カール・デイヴィスの音楽はミュージカルのような親しみやすさもあり、バレエを初めてご覧になる方にもお楽しみいただけると思います。主役のパ・ド・ドゥや宝石たちの踊りなどバレエの美しさも堪能でき、エンターテインメント性にあふれた演出も多く、空飛ぶじゅうたんやランプの精ジーンの登場シーンは必見です。

―「アラジン」札幌公演に向けて、読者の皆さんへメッセージをお願いいたします。

「アラジン」は貧しい青年アラジンがプリンセスと出会って人を愛することを知り、お金や権力よりも大切なものに気づく成長物語。この普遍的な魅力を持つバレエは、きっと札幌の皆さまの心にも届くと思います。ぜひ生の舞台を観に、足を運んでくださるとうれしいです。

story

アラビアの街に住む青年アラジンは、仕事もせずに遊んでばかり。今日も騒ぎを起こして警備隊に捕まるが、魔術師マグリブ人が彼を助け出し、砂漠の洞窟からランプを取ってくるようもちかける。洞窟の財宝に目が眩んで了承したアラジンは、マグリブ人にランプを渡すのを拒んだため洞窟に閉じ込められてしまう。暗闇の中でアラジンがランプをこすると、ランプから精霊ジーンが登場。ランプの持ち主の願いを叶える魔法により、アラジンは洞窟から脱出する。さらに、皇帝の娘であるプリンセスに恋したアラジンは、ジーンの魔法で大富豪に変身。皇帝の許しを得て晴れて夫婦となったアラジンとプリンセスだったが、ある日、物乞いに扮したマグリブ人がやって来て……。

新国立劇場バレエ団「アラジン」

指揮:冨田 実里
管弦楽:札幌交響楽団

2024年7月6日[土]‒7日[日]
札幌文化芸術劇場 hitaru
各日開場13:15 開演14:00
全席指定・税込
SS席15,000円、S席13,000円、 A席10,000円、 B席8,000円、
C席6,000円、 D席5,000円、U25各席種2,000円引き〈SS席を除く〉

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