◎騎士長役
大塚 博章
Hiroaki Otsuka
岩見沢市出身。玉川大学芸術学科卒業。二期会オペラ研修所プロフェッショナルコース修了。第5回日本クラシック音楽コンクール最高位。第42回日伊声楽コンコルソ第3位。文化庁派遣芸術家在外研修員として渡独し、ワーグナーを中心に研鑽を積む。帰国後は新国立劇場「タンホイザー」「ドン・カルロ」「イオランタ」「トスカ」「カルメン」「ボリス・ゴドゥノフ」に出演。二期会では「魔笛」ザラストロ、「パルシファル」ティトゥレル等を演じる。他にもゲルギエフ指揮「サロメ」、アシュケナージ指揮「不死身のカシチェイ」等で好評を博す。二期会会員。
●自身が演じるキャラクターについての印象は?
私が持つ騎士長のイメージはやはり「石像」のお化けというものでした。冷たい、感情のない、鉄仮面という感じです。これまで何度か騎士長役を演じてきましたが、人間味のかけらもない、暗い怖いキャラクターを作ってきました。しかし園田マエストロと音楽稽古を重ねる内に、ちょっと違った角度からも騎士長役が見えるようになってきて、少し人間味が残っているのもアリかも、と思うように。最終的にいかなる騎士長がhitaruに現れるのか?ご期待ください!!(私も楽しみです)。
●ここに注目してほしい!
放蕩の限りを尽くしたジョヴァンニが最後の最後に罰が当たって、騎士長の亡霊に地獄へ引きずり込まれるシーンは、お客様の背筋を凍らせるに違いありません。子供のころ見た映画『アマデウス』に、主人公モーツァルトがこの場面を指揮しているシーンがあるのですが、子供ながらにその不気味さに驚愕しました。
モーツァルトが活動していた当時と比べて、ちょっとやそっとの仕掛けでは人は驚かなくなりました。でもモーツァルトの芸術が誘う世界観は、時代を超越して人間の心を揺さぶるのだと思います。それを再現する私たちは責任重大ですが、モーツァルトの意図を踏み外すことなく、お客様に楽しんでいただける舞台を作りたいです。
●最後に、本公演を楽しみにしている読者の皆様へのメッセージを
今回も道産子パワーを結集して、日本のどこでもない、hitaruだからこそできる『ドン・ジョヴァンニ』をお見せできるよう、出演者みんなで頑張っています。劇場で皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
◎ドン・オッターヴィオ役
荏原 孝弥
Takaya Ehara
札幌市出身。北海道教育大学岩見沢校芸術課程音楽コース声楽専攻卒業。東京藝術大学大学院音楽研究科声楽専攻修了。イタリア、オジモ市オペラアカデミーを修了。新国立劇場オペラ研修所第19期修了、在籍中ANAスカラシップにより海外研修を行う。国内外のオペラやコンサートにソリストとして数多く出演。近年では北海道二期会「皇帝ティトの慈悲」、大阪交響楽団定期演奏会「子供と呪文」、藤原歌劇団「ラ・チェネレントラ」などに出演し高い評価を得た。バロック声楽アンサンブル Il Portafortuna ~歪な真珠~ 主宰。
●自身が演じるキャラクターについての印象は?
ドン・オッターヴィオは正義と規律を重んじる騎士の理想像で、同じ騎士のドン・ジョヴァンニとは対極的な描かれ方をしています。本作に登場する人物はドン・ジョヴァンニの自由奔放な生き方によって人生を掻き乱されるのですが、彼だけは理性を保ち続けます。しかし、そのまじめさは時に仇となり、婚約者であるドンナ・アンナの心は彼から離れていってしまいます。本当の正義とは、人間としての魅力とは、そんなことを考えさせられるキャラクターです。
●ここに注目してほしい!
モーツァルトのオペラにおいて物語を進めるのはレチタティーヴォ・セッコ(通奏低音の伴奏による語り口に近い歌唱)です。その中で、ドン・オッターヴィオの性格が表れている言葉がより生きるような音楽作りを目指しています。チェンバロで伴奏されることが多いセッコですが、今回は初演当時使われていたであろうフォルテ・ピアノという鍵盤楽器が使用されます。柔らかな音色で音の強弱をつけられる楽器なので、よりモーツァルトの時代に近い音を目指して、声の使い方を工夫できることが楽しみです。
●最後に、本公演を楽しみにしている読者の皆様へのメッセージを
私はhitaruへの出演が初めてです。音楽稽古でこの劇場の素晴らしい音の響きを体験しましたが、キャスト、合唱、オーケストラ、舞台セットがこの舞台でひとつに合わさり、どのような音が生まれるのか、今からとても楽しみです。じっくりと時間を使い作り上げられる本公演は、とても魅力的なオペラになると確信しています。ご来場をお待ちしております。
◎マゼット役
粟野 伶惟
Rei Awano
苫小牧市出身。北海道教育大学岩見沢校卒業、同大学院修了。第9回東京国際声楽コンクールにて地区大会最優秀賞、全国大会入選。第1回hitaruオペラプロジェクト「フィガロの結婚」フィガロ、バルトロ役のカヴァーキャストを務める。オフィス リベリュール主催「トスカ」シャッローネ役で出演。DOSANC’OPERA主催「ドン・パスクワーレ」タイトルロール、「電話」ベン役で出演。LCアルモーニカ主催「アンドレア・シェニエ」マテュー役で出演するなど、道内のオペラ公演に多数出演。
●自身が演じるキャラクターについての印象は?
貴族が多く登場する本作の中で、マゼットは数少ない「平民」のキャラクターです。結婚相手の村娘ツェルリーナや、彼女を狙うドン・ジョヴァンニに振り回されることが多いこともあり、登場人物の中でも際立って感情の起伏がはっきりしています。自分の感情に対して良くも悪くも素直なキャラクターだなという印象です。
●ここに注目してほしい!
ツェルリーナに対して、浮気を疑い嫉妬心をあらわに詰め寄ったり、かと思えばうまく丸め込まれてすっかり良い気になり、はたまたツェルリーナに言い寄ったドン・ジョヴァンニに対して敵がい心をあらわにしたり……。そんな人間らしい、等身大の感情をそのまま表現するのがマゼットの魅力だと思います。ドン・ジョヴァンニを発端とした一連の騒動に翻弄され、一喜一憂する姿に是非注目していただきたいです。
●最後に、本公演を楽しみにしている読者の皆様へのメッセージを
このたびはこのような機会をいただき、大変光栄に思っております。とても素晴らしい共演者やスタッフに囲まれ、充実した稽古を重ね、公演までの準備を着々と進めております。精一杯演じさせていただきますので、皆様のご来場を心よりお待ちしております!
「ドン・ジョヴァンニ×マンガ」
企画実施中!
札幌文化芸術劇場 hitaruが札幌出身の人気漫画家 カスカベアキラ先生とコラボし、「ドン・ジョヴァンニ」の個性豊かなキャラクターたちの魅力を発信する企画を実施中! 美しいアリア(独唱)やアンサンブル(重唱)によって生き生きと演じられるキャラクターたちがビジュアル化・4コマ漫画に登場します。ちょっと大人なオペラの世界で、自分だけの「推し」を探してみませんか?
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