今回は、2024年度採択事業の一つ「ホネ茶論 2024」の主催である「えぞホネ団Sapporo」に、これまでの歩みや展覧会の展望などについて伺いました。
「えぞホネ団Sapporo」は、この世のすべてのイキモノをガイコツ化して世界征服をもくろむ秘密結社……ではなく、標本づくりをライフワークとする年齢も職業もバラバラなメンバーが、さまざまな角度からその魅力を発信する有志の団体です。
SCARTSのコートやモールで開催される「ホネ茶論 2024」では、全長約6mのクジラの全身骨格模型をはじめ、多彩な技法で作成された標本を数多く公開。また、ヒグマやライオン、キリンの骨を正しく並べる「骨並べワークショップ」などを通して、生き物の生態や神秘を間近に体感できます。
標本は本来、動物たちの多様性や体の機能、進化の道筋を学べる貴重な学術資料です。「通常はガラス越しに眺めることが多いと思いますが、実物に触れて質感を確かめたり、手を動かして遊びながら学べるのが、私たちの展示の最大の特徴です」と団長の工藤智美氏。一方、副団長の渡邉洋子氏は「生物系の人材よりも造形やアート系の人材がたくさん所属しているのも珍しいところでしょうか。私たちがつくった『さわれる、あそべる、かんじる標本』の魅力を身近に感じてもらえれば」と話します。
標本づくりは、夏休みの自由研究としても人気のプログラム。同団体では作成方法をまとめた小冊子を刊行していますが、工藤団長のおすすめは『豚足の骨格標本づくり』とのこと。「手に入りやすくて実際に食べられる豚足は、食育的にも最適の題材。残った骨をきれいにクリーニングして組み上げるという一連の流れを家庭で体験できて、楽しいですよ」。
ただ、骨や標本にはどうしても「怖い」という先入観が付いて回りますが、「団員の中には子育て中のママさんが多く、子どもと一緒に標本づくりを楽しんでいます。ぜひ皆さんも会場で“推し”を見つけてみませんか」と渡邉副団長が話してくれました。
えぞホネ団Sapporo
(えぞほねだんさっぽろ)
「さわれる、あそべる、かんじる標本」をコンセプトに、標本の作成と普及活動を推進している有志の団体。発足は2013年で、現在は16人が所属。CISEネットワーク(札幌周辺地域の教育施設が連携し、地域住民への実物科学教育を進めるネットワーク)が主催するさまざまなイベントに出展するほか、標本の魅力を幅広い層に発信する独自イベント「ホネ茶論(サロン)」などを開催している。