2024
JUN-JUL

6-7

和洋のアンサンブルが織りなす“化学反応”

―ニューヨークのリンカーン・センターでの公演、そして日本各地での凱旋ツアーと、2022年に結成した和洋混合オーケストラ「響」での活動が話題を呼んでいます。

実は20年以上前のデビューのころから、作品づくりなどの際に「ヴァイオリンと対峙するメインの楽器として、和楽器の音色が欲しいな」とずっと考えていました。その構想を積み重ねて立ち上げたのが、さまざまな和楽器とオーケストラを融合した「響」です。和洋のコラボレーションから生まれる雄大なアンサンブルが魅力で、洋楽器が奏でる世界観を、和の音が一気に別世界に連れて行ってくれるような独特の飛翔感が大好きです。

―実際のコンサート会場でのリアクションはいかがですか?

どの会場でも、大きな反響をいただいています。「日本の素晴らしさを再認識することができました」という声も多くて、うれしい限りですね。同時にステージでは和楽器・洋楽器を問わず、ご一緒する奏者の皆さんの素晴らしさ、すごさを改めて感じています。

―今回の札幌公演では、第一部はフェビアン・レザ・パネ氏、第二部は「響」のメンバーである藤舎推峰氏、住田福十郎氏と共演します。

プログラムは二部構成で、前半がアコースティックなピアノフォルテのパネさんとのデュオ、後半は笛の推峰さん、鼓の福十郎さんという、和楽器界の若手のホープとのコラボレーションでお届けします。

情熱の赤、壮大の青。両者が紡ぐ世界観

第一部で共演するパネさんのピアノは、美しい風景の中に誘ってくれるかのような深い音色が特徴。情熱的なタンゴやピアソラの演奏を通して、一緒に踊りだしたくなるような一体感を感じられると思います。第二部は和楽器の二人と紡ぎ出す壮大な世界観を楽しんでほしいですね。

―第一部では「愛の挨拶」「リベルタンゴ」「チャルダッシュ」など、第二部では「ホワイトレジェンド~白鳥の湖より~」「夕顔~源氏物語より~」「ジュピター」などの演奏を予定していますが、多彩なラインナップですね。

前半はタンゴやピアソラを中心に、シャンソンからクラシックまで、幅広いジャンルの名曲をお届けします。「アルマンズ・ルンバ」や「サマータイム」といった大好きなジャズナンバーも演奏したいと思っています。後半は日本伝統の音の素晴らしさを継承しつつ、ジャンルや時代を越境して新しい音楽を切り拓いている頼もしい二人との共演となります。和洋の響きが融合するドラマティックな演奏に、ぜひご注目ください。

―最後に札幌のファンの皆様にメッセージを。

北海道は仕事やプライベートで訪れるたびに、その雄大で美しい景色とおいしい食べ物からたくさんのエネルギーをもらっています。今回も大好きな札幌で、すてきなメンバーと共にバリエーション豊かな名曲の数々を奏でます。皆様にお会いできることを、心より楽しみにしています。

川井郁子

ヴァイオリニスト・作曲家

香川県出身。東京藝術大学卒業。同大学院修了。現在大阪芸術大学教授。ニューヨークのカーネギーホールや、パリ・オペラ座、ワシントンD.C.で全米さくら祭りへ出演するなど国内外で活躍。作曲家としてもジャンルを超えた音楽作りに才能を発揮。TVやCM等、映像音楽の作曲も手がける。フィギュアスケートではミシェル・クワン選手、羽生結弦選手など国内外の選手にも楽曲が数多く使用されている。第36回日本アカデミー賞で最優秀音楽賞を受賞。また、NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の紀行のテーマを担当。CDデビュー20周年記念として、2022年に和洋混合オーケストラ「響」を結成し、各方面より絶賛された。社会的活動として「川井郁子マザーハンド基金」を設立。また全日本社寺観光連盟親善大使、国連UNHCR難民サポーターを務める。2023年3月にオーケストラ響のデビューアルバム「響」を発売。9月にはオーケストラ響として初の海外公演をニューヨークで行い、現地の方々から大絶賛された。

藤舎推峰

篠笛・能管

1979年東京都生まれ。父は笛演奏家の中川善雄。藤舎秀蓬、藤舎名生(重要無形文化財保持者)、中川善雄に師事。2004年藤舎推峰の名を許される。東京藝術大学大学院音楽研究科邦楽囃子専攻修了。在学中に浄観賞、同声会新人賞、アカンサス音楽賞を受賞。国立劇場主催公演をはじめ演奏会や放送に多数出演。藤舎流『真しほ会』、藤舎流若手による『青濤会』同人。2017年に紀尾井ホールにてリサイタル『藤舎推峰 笛の会』を開催。『竜馬四重奏』のメンバーとしてポニーキャニオンよりメジャーデビュー。ポップス等幅広いジャンルでも活動している。令和2-3年度文化庁文化交流使。

フェビアン・レザ・パネ

ピアノ

東京生まれ。父はインドネシア人、母は日本人。東京藝術大学作曲科卒業。80年代に「海辺のサティ」他8枚のネオ・シック・シリーズをリリース、ピアニスト・編曲家として注目を集める。大貫妙子、小野リサ、川井郁子など多くのアーティストのコンサート、レコーディングに参加、 繊細かつ研ぎ澄まされた独特のピアノ・タッチと音色には定評がある。「ガネーシャの夢」「海の幻想曲」などのアルバムを発表、ボサ・ノヴァのスタンダード・ナンバーをピアノ・トリオで演奏したアルバム「ピアノ・デ・ボッサ」は現在も好評発売中。また、全編オリジナル曲によるピアノソロアルバムのリリースも多く、2022年よりストリーミング限定配信によるライヴアルバムを制作、 現在までに「南島望響」「春夏清調」など4枚をリリースしている。

住田福十郎

東京藝術大学邦楽科卒業。父、住田長十郎より邦楽囃子の手ほどきを受け、2010年に邦楽囃子方住田流 住田福十郎の名を許される。全国各地の邦楽演奏会、舞踊会やテレビの邦楽番組、海外での公演等に出演し演奏活動を行っている。片山福十郎の名で声優としても活動し、代表作として『ピンポンTHEアニメーション』の主人公、星野裕ことペコ役や2023年10月27日に公開された映画『デジモンアドベンチャー02THE BEGINNING』の主人公・本宮大輔役を、またEテレにて毎週金曜日18時40分〜放送の『ふしぎ駄菓子屋銭天堂』にて墨丸役を演じている。

hitaruのひととき

「川井郁子 with 響Duo」

2024年7月13日[土]
札幌文化芸術劇場 hitaru
16:00開演〈15:00開場〉

全席指定・税込
一般 3,000円 U25 1,500円

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