札幌文化芸術交流センター SCARTSでは、札幌の文化芸術の振興を図ることなどを目的に、さまざまな個人・団体を対象とした事業企画公募を毎年実施しています。
今回紹介する2024年度採択事業は、作曲家・音楽家の北爪裕道氏が手がける
「INTEG’Lab Festa 音と光で遊ぶ最前線」。名だたる演奏家たちとの協働に加え、さまざまな電子音響技術や自動演奏楽器を駆使して新たな表現領域を切り開き、国内外で注目される北爪氏に、自身の音楽的なルーツや公演の見どころなどを伺いました。
ヒトと機械のセッションが生み出す、
最先端の音楽体験
祖父がクラリネット奏者、父が作曲家という音楽一家で育った北爪裕道氏。3歳のころにピアノを始め、やがてオーケストラを通して音楽にのめり込んでいきました。
「中学生になると指揮の勉強もしながらいろんな曲の楽譜や演奏を研究して、自分だったらどう演奏するかを頭の中で組み立てて楽しむようになりました。合唱や部活のオーケストラで実践の機会も得られ、仲間たちと遊びながら随分熱中しましたね。それが自分の原点だと思っています」
作曲理論や指揮法、コントラバスを学んだ北爪氏は、東京藝術大学音楽学部作曲科に入学し、指揮者としても活躍。また、2013年からは文化庁などの給費を受けて渡仏し、パリ国立高等音楽院やIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)で作曲やコンピューター音楽を専攻。2018年に発表した《自動演奏ピアノ、2人の打楽器奏者、アンサンブルと電子音響のための協奏曲》は国内外で上演され、高く評価されました。
2021年に京都で開催した《粒子の踊り》を起点とする今回のイベントでは、国内外の第一線で活躍する演奏家をはじめ、音響卓(ミキサー)を操作して演奏するアクースモニウムや、レーザーと映像と音を組み合わせて独自の表現を追求するINTEG’Labの仲間たちが集結。「音と光で遊ぶ最前線」をテーマに、子どもから大人までが直感的に楽しめる展示や演奏を披露します。
「さまざまな領域をインテグレート(統合)して高めていこうというのが、INTEG’Labのコンセプト。演奏だけでなく、子ども向けと大人向け、そしてアーティストなどの上級者向けという3種のワークショップや、最新の音響機器の無料体験会も実施します」
そして12月21日・22日に開かれる北爪氏の作品による公演では、SCARTSコートの会場設備に合わせた新作を用意。内部機構が見えるアップライトピアノの自動演奏とアーティストによる生演奏をミックスする、北爪氏の世界観を詰め込んだ公演は必見です。
「人間らしい表現と機械にしかできない表現、それぞれの持ち味を引き出すことで生まれる新たな音楽空間を、ぜひこの機会に体感してほしいですね」
北爪裕道
hiromichi kitazume
作曲家、音楽家、技術者、教育者として多方面で活躍し世界的な評価を得る北爪は今年INTEG’Labを設立し、新たに札幌を拠点とした公演活動を開始。
http://integlab.net
これまでに作曲した作品は、ソロからオーケストラ、声楽、電子音楽、インスタレーションまで多岐にわたる。自動演奏楽器や音響技術の開発も手がけ、2018年に制作した自動演奏ピアノ制御プログラムはパリでスタンダードとして使用され続ける。また、昨年開発した新型立体音響システムは、IRCAMフォーラム創立30周年記念イベントに2度招待され注目を集めている。東京藝術大学、桐朋学園大学、国立音楽大学、東京大学で講師を務め、2022年からは北海道教育大学(音楽文化専攻作曲コース)の専任講師として後進の育成にも力を注いでいる。
INTEG’Lab Festa
「音と光で遊ぶ最前線」
2024年12月12日[木]-12月24日[火]
SCARTS モール
入場無料
SCARTS コートにて有料公演・ワークショップ開催
イベントページはこちら
出演
本堂誠(サクソフォン)
後藤英(作曲/ニューメディアアート)
檜垣智也(作曲/アクースモニウム)
北爪裕道(総合プロデュース、作曲、技術制作)
INTEG’Lab Festa
「音と光で遊ぶ最前線」
2024年12月12日[木]-12月24日[火]
SCARTS モール
入場無料
SCARTS コートにて有料公演・ワークショップ開催
イベントページはこちら
出演
本堂誠(サクソフォン)
後藤英(作曲/ニューメディアアート)
檜垣智也(作曲/アクースモニウム)
北爪裕道(総合プロデュース、作曲、技術制作)