札幌文化芸術交流センターSCARTS(スカーツ)では、
札幌の文化芸術の振興を図ることなどを目的に、
さまざまな個人・団体の事業企画公募を毎年実施しています。
今回は、2024年度採択事業の一つ「命日」の主催である
ORNI 松井香菜子氏と野沢宏志(NOJI)氏に、
これまでの歩みや展覧会の展望などについて伺いました。
今ある命とどう向き合うか。
植物とアートで紡ぐ空間
「花を生けるという仕事は、植物の命を断ちながら生かしていく営為でもあります。フローリストとして、常に命のリミットに追われながら仕事や創作に取り組む中で、自然に生かされていることへの感謝やプロダクトの循環を強く意識するようになりました」
そう語る松井香菜子氏は、表現の領域を押し広げるクリエーションの可能性を探る過程で、個展を通じてNOJI氏の作品と出合い、このユニットの結成につながりました。
「光、夢、生命、宇宙、偶然、直感」をテーマに創作活動を行うNOJI氏の作品は、ポップかつ彩度の高いタッチが特徴。その作風からは一見想像もつかない「命日」というタイトルを考案したのも、実はNOJI氏です。
「ベースにあるのは『植物の成長と自分の成長を重ね合わせる』というコンセプト。一般的にはネガティブに捉えられる『命日』という言葉ですが、ご覧になった皆さんが改めて命と向き合うきっかけになればという意味を込めています」とNOJI氏。その意図に松井氏も賛同し、一気にプロジェクトが動き出しました。
素材集めからスケジュール調整まで、二人で協力して進める作業は普段の創作活動とは勝手が異なるものですが、「話し合って煮詰めていく過程が新鮮で、思ってもいなかった発想が出てくるのが面白いところ。SCARTSの施設の特徴を生かした圧倒的なスケール感やエネルギーを体感してもらえれば」とNOJI氏。一方の松井氏は「生命の輝き、命の光が大きなテーマ。『自分がヒトとしてどうありたいのか』を一人ひとりに問いかけるような展示になればと思っています」と構想を話してくれました。
生花はもちろん、さまざまな植物を素材として用いる松井氏のインスタレーションとNOJI氏のアートが、ユニットならではの化学反応を経て紡ぎ出す「命をめぐる旅」。SCARTSを舞台に展開される新たなアート空間を、ぜひ体験してください。
ORNI 植物作家 松井香菜子 × 芸術家 野沢宏志(NOJI)
オーダーメイド専門の生花店『ORNI(オルニ)』代表で、植物作家としても独自の作品づくりに取り組む松井香菜子と、絵画やインスタレーションの創作をベースに、舞台美術からライブペイントまで、幅広いアーティスト活動を展開する芸術家 野沢宏志(NOJI)によるユニット。 今回の展覧会では「ヒト=自然から学ぶ」をコンセプトに、植物とアートを融合させたクリエーションに挑む。
SCARTS 企画公募 2024
命日
2024年8月24日[土]-9月1日[日]
SCARTSコート、SCARTSスタジオ、
SCARTSモールA・B・C
入場無料