2024
AUG-SEP

8-9

第9回北海道戯曲賞の大賞受賞作品「チェーホフも鳥の名前」は、サハリン島のある街と人々の暮らしを描いた骨太の群像劇。
アントン・チェーホフや宮沢賢治ら、かつてこの島を訪れた作家達の眼差しとともに、1890年から約100年にわたる壮大なクロニクルをたどります。
2019年の初演、東京や伊丹での再演に続く、札幌での上演を記念して、作・演出を手掛けたごまのはえ氏のインタビューをお届けします。

—北海道はサハリン(日本統治時代は「樺太」)と宗谷海峡を隔てて隣接しています。まずは北海道とのつながりや印象についてお聞かせください。

日本劇作家協会北海道支部の招きで戯曲講座の講師を務めていたので、札幌に伺う機会が多かったのですが、稚内にも昔一緒に創作に取り組んだ方がおられますし、大空町では演劇のワークショップも開催しました。
「北海道の人は〇〇だ」みたいな大雑把な印象はまるでなく、当たり前ですが、皆さんバラバラ。何度か訪れるうちにお会いした人たちのことが第一に思い浮かぶようになりました。そんな魅力的な方々と楽しくお付き合いしています。

—創作に関連する具体的な交流エピソードを。

本作を書いた関係で「祖父母や親戚が樺太に住んでいた」と話してくださる方が何人もおられました。樺太の記憶が自分たちの家族の話として語り継がれているように思います。本州に比べると樺太への思いははるかに強いですし、樺太との距離的な近さを感じると同時に、樺太の政治的な遠さも感じておられるのではないでしょうか。

—札幌公演ならではの演出はイメージされていますか。

伊丹、東京で上演した会場に比べて、クリエイティブスタジオは天井が低いのでかなり印象が変わります。この戯曲は島の歴史を描いていますが、(天井が低いことで)前の二つの会場に比べて「島」や「大地」を感じられるような上演にしたいと思っています。

—2024年に北海道で上演する意義についても改めてお聞かせください。

北海道には樺太の話が家族の話でもある人が多くいらっしゃいますので、家族の風景をより丁寧に描くことを心掛けています。また本作にはロシア、日本、ニヴフ、朝鮮の家族が登場しますが、その人たちが懸命に生きる姿を描くことで、現在のサハリンをめぐる状況にも興味を持ってもらえたらと思っています。

—読者の皆さまにメッセージを。

「チェーホフも鳥の名前」を再び上演できて本当にうれしいです。皆さんに楽しんでもらえるよう座組一同、遠く京都の地で稽古に励んでいます。過去、現在、未来に想いを馳せていただけるような時間になればと思っています。劇場でお待ちしております。

ごまのはえ

大阪府枚方市出身。劇作家・演出家・俳優。ニットキャップシアター劇団代表。京都を創作の中心に全国で活動を展開している。2004年に「愛のテール」で第11回OMS戯曲賞大賞を、2005年に「ヒラカタ・ノート」で第12回OMS戯曲賞特別賞を連続受賞。2007年に京都府立文化芸術会館「競作・チェーホフ」で最優秀演出家賞を受賞。劇作家、演出家として注目を集めるほか、演劇ワークショップや演劇講座の講師としても活躍している。2016年より一般財団法人地域創造派遣アーティストを務める。

情報誌「北のとびら」(発行:北海道文化財団)でも、ごまのはえ氏のインタビューを掲載しています。(7月29日[月]発行予定)

第9回北海道戯曲賞 大賞受賞公演
ニットキャップシアター 第45回公演

「チェーホフも鳥の名前」

2024 8.24[土]-25[日]
クリエイティブスタジオ
開演13:00 ※各日、開場は開演の30分前

★8/24終演後にごまのはえ氏と松井周氏(サンプル)によるアフタートークがあります

全席指定・税込
一般3,500円、U25 2,000円、高校生以下 1,000円(当日は各+500円)

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